新成果主義の誕生

2015年08月05日

表の「人事制度の変遷」を見ておわかりいただけるとおり、2005年以降、日本の人事評価制度は「新成果主義」に突入しました。
結果評価だけでは通用しない時代に移り変わったのです。
 
それ以前の「旧成果主義」では、業務の成果のみを評価し、それに至るプロセスは無視して、報酬を決定しました。
いわゆる「ペイ・フォー・パフォーマンス」という、きわめてシンプルかつ合理的な考え方で、特に外資系金融機関ではスタンダードな制度です。
 
この制度は、成果を出せる優秀な人にとって熱狂的に迎えられました。
なぜなら、頑張っても頑張らなくても給与は同じという年功制では、優秀な人が割を食う結果になっていたからです。
実際、日本の金融機関で働いている一部の優秀な人たちは根こそぎ、外資系の金融機関へと転職し、当時はスーパーエリートなどと呼ばれました。
 
日本企業も、成果主義を導入すれば優秀な人材の不満が一気に解消され、(外資系企業のように)高い生産性を維持できるのではないかと考えました。
90年初頭から2000年半ばくらいまで、日産自動車、富士通、ナムコ、日本マクドナルドなど、名だたる大手企業が導入に踏み切っています。
 
ところが、成果主義は日本企業には馴染まなかったのです。
 
象徴的だったのが、2010年の日経産業新聞の記事です。
NTTグループが人事制度を刷新、それまでの「成果7割、プロセス3割」という評価を5対5に変更としたというニュースが一面トップに掲載されました。
つまり成果のウエイトを下げて、プロセスのウエイトを上げたわけです。
 
この狙いは何だったのでしょうか。
 
成果主義はつまり個人主義でもあります。
個人主義に走った社員が中間管理職になると、部下のマネジメントはしたくないといいだします。
なぜなら、彼らにとっては自らの職務とスキルアップが優先事項であり、後身の育成などは手柄の範疇にないからです。
NTTグループはそのような弊害を解消するために、成果もプロセスも5割に、つまり評価のウエイトをフィフティ・フィフティにしたというわけです。
 
このように、若手社員が伸びるどころか若手育成のノウハウが消失してしまった企業の多くは、成果主義を見直し、抜本的な改革に乗り出しました。
 
それが、プロセスを重視する「新成果主義」です。
一つひとつのプロセスに着眼点をおいて目標化し、行動レベルを緻密にチェックして、目標を達成できたかできないかで査定し評価する、という新しい人事評価制度です。
 
プロ野球選手の場合も、ボランティア活動やメディア露出、講演会、ファンサービスという、実際の試合には関係のないプロセス部分が年棒の査定評価に入っています。
 
ある投手が20勝すれば、上位の球団に勝利するのでお客様の入場数が増え、放映料が増えるという、直接的な効果があるかもしれません。
しかし、ファンサービスを積極的に行うことで球団の価値を上げ、ファンが増え、グッズが売れるのも、球団側からみれば立派な評価の対象なのです。
一昔前までの、「プロなんて結果がすべてだ。飲酒運転しようが朝まで飲もうが、事故らなければいい。完封すればいい」という考えは時代錯誤も甚だしいです。
 
それはホワイトカラーでも同じこと。営業が「数字を出せばいいんでしょう」という時代ではありません。
いまそのような人がいたら、社風は確実に荒れるでしょう。
 
会社にとって招くべき人は、その振る舞いや行いで会社の業績が上げられる人です。こういう人こそが真のスーパースターなのです。