人事評価制度がない企業はすべてブラック企業

2015年08月08日

ブラック企業の定義を調べると、「労働者を過重労働や違法労働によって使いつぶし、次々と離職に追い込む企業を指す」というようなことが書かれています。
 
もともと日本型雇用では単身赴任や長時間労働などが労働者に課される一方で、年功序列型賃金制度や長期雇用、企業福祉が保証されてきました。
しかし、ブラック企業ではその見返り部分がないにもかかわらず、指揮命令の強さだけが残って、使いつぶすという働かせ方が可能になってしまいました。
その結果、組織の最下層でキャリアアップの機会もないまま長時間の激務や過大なノルマを強いられ、離職率が非常に高くなるという傾向があります。
さらには健康や精神を害してしまうケースも見受けられ、深刻な社会問題になっています。
 
もちろんそのような労働者を虐げ、生命の危険を脅かす会社はブラック企業に違いありません。
しかし、それ以前に、これまで述べてきた人事評価制度の仕組みのない会社は、すべてブラック企業だと私は断言します。

評価制度のないプロスポーツはあり得ません。
プロ野球の年俸交渉を思い浮かべてください。「お前、昨年は12勝だったよな。それでいくらもらった?5000万円か。今年は10勝だったから、4000万円でいいよな」というようなラフな年俸交渉はあり得ないです。

投手であれば、10勝したという貢献度だけではなく、投球回数、防御率、脱三振率、被本塁打率、与四死球率、さらには「あの局面のあの抑え方がよかった」という1プレーも評価や査定に入ります。
つまり最初に目標設定があり、合意形成があり、プロセスと結果があるのです。

サッカーの世界はもっと緻密と聞きました。セリエAであれば、移籍の年俸交渉の際に、全試合の90分の動き方、走った分数、パスの成功率、1分1秒どう動いたかがすべてレーティングされます。
まさに本人の市場価値が問われる。
そして、7億円なのか7億1000万円なのか、すべて細かくはじき出された結果で年俸が決まるのです。

プロスポーツの世界だけでなく、仕事にも目標設定はあるべきです。
目標に対して1年間どのようなプロセスと結果が残せたか、それに対して年俸や給与が決まるというのが正しい労使関係です。

もう一度書きますが、長時間労働やサービス残業、労働法に抵触していることだけがブラック企業なのではありません。人事評価の仕組みがない会社はすべて、ブラック企業なのです。

これは余談ですが、労働状況としては、実情は大手企業のほうがひどい場合が多いです。
究極的には、サービス残業をさせても、本人が不満と思わずにその声が外に出なければ、黙認されます。
生涯賃金でいえばよい待遇を与えられているので「少しの間我慢してくれ」といわれれば、たいがいの社員は我慢することでしょう。

逆に中小企業のほうが労働基準監督署の目が光っていて、ブラック企業と訴えられたり、未払い残業代請求などを命じられたりしています。
人が辞めていく会社ほど恥部は外に出ます。
いってみればウィルスのようなもので、だから問題が取りざたされやすいのです。