平等という名の不平等

2015年08月14日

中小企業の経営者にとっては、いまが変われるうってつけのチャンスです。
中小企業こそ、人事評価制度を導入するだけで労働生産性を上げることができるからです。
そこで生まれた利益で社員の給与を3割上げられれば、社員はさらに上のパフォーマンスを返してくれるでしょうし、そのおかげでさらなる利益が生まれるというわけです。
 
しかし、中小企業の経営者の皆さんにそのように話をすると、「会社の将来も守りたいが、新しい人事評価制度を導入して既存の社員にばたばたと辞めていってもらいなくない」と誰もがおっしゃいます。
残念ですがこの考え方では会社の将来を守ることはできません。
 
人事評価制度を導入して正しく運用するというのは、具体的には採用力を上げて、新陳代謝に踏み切るということです。
つまり採用力を上げたあとで一部の人たちに辞めてもらっても構わない、という方法へ舵を切るということなのです。
 
社員というのはどのような業種業態でも、どのような規模でも、優秀な2割、普通の6割、働かない2割に分かれます。
 
人事評価制度を導入すると、そのうちのどこが辞めると思いますか。
実は下位の2割なのです。
下位2割は、厳しいいい方をすれば「会社のお荷物」なので、経営者ももともと辞めてほしいと願っている人たちです。
ただし、現状はその人たちがいないと事業が継続できないので、仕方なく雇っています。
であれば、まずは採用力を上げて、新しい人たちが来る環境づくりをしてから、メスを入れるようにします。
 
また上位の優秀な2割は、新しい人事評価制度が導入されれば、必ず生産性が向上します。
 
それまでは「平等という名の不平等」だったわけです。
「人事評価制度を導入することで、社員に差はつけたくない」という経営者がいまでも大勢おられますが、優秀な2割の人たちは「家族手当や住宅手当を、成果を出した人へのインセンティブとして振り分けてくれたら……」とずっと考えていたことでしょう。
稼ぐ人たちの給与は上がり、稼がない人たちの給与は下がる。
本当の平等というのはそういうことです。「みんな一緒」ということほどの不平等はありません。
 
私は経営者の皆さんにこのようにお伝えします。
 
「いまのままであれば、下位2割の人たちが辞めるリスクよりも、上位2割の人たちが辞めるリスクのほうが高いのです。何もしなければ上位2割が辞めます。施策をほどこせば下位2割が辞めます。究極の2択ですが、どちらがよいですか」と。
 
もちろん、ほとんどの経営者は上位2割に残ってもらいたいと思っています。
ここで「なるほど、わかった」と即断できる経営者は上位2割を見ており、「そんな差をつけなくてもいいよ。みんな頑張っているし」という経営者は下位2割を見ているのだと私は思います。
 
それから「たとえ下位2割でも人員が減るのは苦しい。その間はどうすればいいのか」との声もよく聞きます。
その時期は、社長も含めて幹部陣が馬車馬のように働いて踏ん張るしかありません。
しかし、その期間は人件費が下がるので、その費用で優秀な人を採ればいいのです