ブラック企業VS.モンスター社員

2015年08月25日

少し私の経験をお話しします。

私の父は生前、印刷会社を営んでおり、私は父の経営の仕方を見て反面教師的にさまざまなことを学びました。

印刷会社には兄も妹もいました。父ひとりだけではできないから数人雇っているという、個人経営に毛が生えた程度の規模です。
それだけに、社員を育成しようとか評価しようという動きはまったくなく、また将来的な売り上げやビジョンも皆無でした。
もちろん社員の仕事へのモチベーションが上がるわけがありません。

ですから社員はみな、社長、つまり父への不平不満を口にしました。
「何をいっても聞き入れてくれない」「褒めてくれない」「給料が上がらない」といつも愚痴っていたのです。

対する父も社員のことを、「あいつは使えない」「売り上げが低い」「仕事をさぼっている」と常に文句を口にしていました。

父と社員は、お互いに信用しておらず、お互いに無能だと思っていました。
この図式、何だかわかるでしょうか。ブラック企業VS.モンスター社員なのです。
そのふたつは、つまるところ隣り合わせなのです。
 
私は、社員が悪いと思ったことはありませんでした。
父が変われば社員も変わるのに、といつも歯がゆく感じていました。

父亡きあと、私はその会社の社長に就任しました。
兄は「あしたのチーム」の創業メンバーであり、営業の部長を兼務しながら、印刷会社の週2専務取締役という役職もこなしてもらっています。
 
そして他の社員たちには、まず強制的にテレマや顧客訪問など新しいことを試みさせたり、定期的に会議を行わせたり、資料を提出させたりしました。
待っているだけのお役所的営業ではなく、自分から攻める営業を体感してもらったのです。

実績が出てくると、人は仕事をおもしろく感じ、いとおしく思うようになります。
おかげさまで少しずつですが、社員の意識が変わっていきました。
現在では社員数は5名から8名に増え、売り上げは当初より30%上がっています。

これくらいの業績アップであれば、すべての会社でいますぐ可能です。
要するに、仕事を好きにさせること、その会社の成長に貢献したいと思わせるための環境をつくればよいのです。

よく「平成世代」とか「ゆとり世代」と揶揄し、「何を考えているかわからない」「ちっとも働かない」と文句をいう人がいますが、そのような短い義務教育の時間で人格が形成されるわけがないと私は思います。
彼らを請け負う企業が、社長が、上司が、賢明に働くことを是としていたら、誰でもとても優秀な社員になるでしょう。
いつでも責任があるのは個人ではなく、企業側なのです。

私の父の会社のように、ブラック企業の経営者とモンスター社員が互いの悪口をいいあって、何も成果を出さないのは実に時間の無駄づかいです。
それは単なるいたちごっこです。
また何か事件が起きたときに、弁護士を入れて話し合いをするのも愚の骨頂です。

それよりも、経営者は、既存の社員が前向きに生産性を上げて働ける社風を形成すること。
市場価値の高い社員へと成長させ、頑張った先にあるやりがいを見いだせる環境をつくりだすことに、もっと費用と時間をつかうべきだと私は思います。