数字が示す「売り手市場」の到来

2015年09月25日

2014年、厚生労働省が発表している全国有効求人倍率を示す際の数字が「6年ぶり」から「22年ぶり」という数字に変わりました。

日本経済新聞の見出しを比べてみましょう。

2014年5月の見出しは「3月の有効求人倍率、1・07倍に上昇 6年9カ月ぶり高水準」とあります。
2カ月後の7月の見出しは「有効求人倍率、6月は1・10倍に上昇 22年ぶり高水準」と書かれています。
その後、2014年12月には、1・15倍まで上昇し、東京都では1・68倍を記録しました。

「6年ぶり」というのは2008年9月のリーマン・ショックをターニングポイントに、「22年ぶり」というのは1991年3月から1993年10月までの景気後退時期、つまりバブル崩壊をターニングポイントとしています。
それまでは「リーマン・ショック前まで戻った」というのが雇用統計上での数字だったのですが、「22年ぶり」ということは「バブル崩壊前までに戻った」ということになるのです。

これはつまり、2014年に労働市場が「買い手市場」から「売り手市場」へと移行し、本格的な人手不足時代に突入したことを示しています。残念ですが、そこからはもう元に戻ることはありません。

なぜなら、日本の人口が今後増える見込みがないからです。

国立社会保険・人口問題研究所が2006年に行った推計によれば、現在の人口増加率では2050年ごろに日本の人口は9000万人前後になるといわれています。
さらに2105年には4500万人にまで減るとか。これはもう止めようがない事実です。

では労働力人口としてはどうでしょうか。
人口は1971年〜74年までの第二次ベビーブームに生まれた団塊ジュニアたちがピークで、彼らが社会に出るまで、つまり約22年前までは、労働力人口は増加傾向にありました。

しかし、ここ20年は景気が悪く、大手企業を含めて賃金が上がらない状態でした。
いわゆるデフレーション縮小傾向で進んできたなかで、労働力を減らす、つまり「非正規を増やし、正社員は切っていく」という方法がずっと続けられてきました。
このデフレ不況期においての有効求人倍率は1・0倍未満。たとえ社員が待遇に不満を持っていたとしても辞めづらい状況です。

要するに、この20年は、労働力人口はすでに減っていたのですが、需給バランスでいうと買い手市場でした。
しかし2014年に景気が回復した途端、どこも人手不足に陥ってしまったというわけなのです。

しかもこの規模は、戦後、もっといえば明治維新からの近代化150年弱において、初めてといってもいい労働力人口・人材の枯渇です。
2014年は日本が過去に経験したことのない超売り手市場を迎えた、本当に大きな転換期だったのです。