年収が上がらないふたつの理由

2015年11月25日

日本は、1954年12月から1973年11月までの19年もの間、高度経済成長期を経験します。
特に1960年、池田内閣のもとで策定された「国民所得倍増計画」は、10年間で国民総生産(GNP)を26兆円に倍増させることを目標に掲げましたが、実際のところ日本経済はこの計画以上の成長をなし得ました。

その後、1973年にオイルショックの余波で第二次世界大戦後初めてマイナス成長を経験しますが、すぐに景気は回復し、バブル崩壊前の1991年2月までは安定成長期でやってこられました。
そして、高度経済成長期と安定成長期を合わせた約36年間、年収というものはどんどん上がっていくものでした。

しかし、いま年収はさっぱり上がることがありません。これはファンダメンタルでいうと、ふたつの理由が考えられます。

ひとつ目は、日本の国力が上がらないことです。
先進国や開発途上国を含めて国内総生産(GDP)が上がっているなか、日本のGDPだけが2008年をピークに上がっていません。

たとえば「日本の生産性の動向 2014年版」というデータによれば、日本の国民ひとりあたりのGDPは、36、315ドル(376万円)で、OECD加盟の先進34カ国中、第17位です。
ちなみに第1位はルクセンブルク(90、557ドル/936万円)で、ノルウェー(65、515ドル/678万円)、スイス(54、094ドル/560万円)、アメリカ(53、086ドル/549万円)と続きます。
日本はフランスやイギリスとほぼ同じ水準で、アメリカと比較すると7割程度となります。

ふたつ目は、世界水準で見たときに、日本人の所得水準は相当高いけれども、労働生産性は低いこと。
つまり日本の労働者の国際競争力が低いことが挙げられます。

拙著『「社員を大切にする会社」の人事評価』にも書いたのですが、日本のホワイトカラーの労働生産性は低いというのは残念ながら本当の話です。
先のデータによれば、2013年の日本の労働生産性は、OECD加盟34カ国中、第22位でした。
なんと主要先進7カ国では1994年から20年連続で最下位です。

市場の原理はすべて需給バランスで決まります。
わかりやすく石油で喩えると、石油が有限で希少性が高いとなれば価格は上がります。
どこかで大量に採掘されれば価格は下がります。
労働に対する給与もそれと同じで、需給バランスで成り立っています。

国内の需給バランスだけで見れば、超売り手市場なら爆発的に給料は上がるように思われるでしょう。
しかし世界水準での需給バランスで見ると、日本のホワイトカラーの労働生産性は低い
。つまり働いているパフォーマンスに比してもらっている給与がそもそも高いので、労働力は海外に求められていくわけです。

たとえば海外の労働力のほうが安くても、GDPが二桁成長していれば、年収も上がっていくかもしれません。
また高齢化によって就業率が低下しても、労働生産性がそれ以上に上昇すれば、これまたGDPが上昇します。

あなたが社員であるのなら、自分の市場価値を高めて労働生産性を上げ、国際競争力を会得しないかぎり、年収アップは見込めないと思っておいたほうがよいと思います。