変態を2割育てるという試み

2015年12月01日

ダイバーシティ・マネジメントという言葉が流行の兆しです。
これは簡単にいうと、多様な人材を受け入れて企業として強くなっていこう、ということです。

私の友人が勤めている森永乳業の人事部には、このような横文字の格好よい言葉が出る30年くらい前からダイバーシティ・マネジメントという考え方がありました。

具体的には、「変態を2割育てる」ということを実践しているそうです。
変態というのは、変わり者という意味で、「通常の採用基準からいうと個性が強すぎて落ちる人たちを2割あえて採用する」という戦略です。

私もこの考え方に賛成です。
もちろん企業に必要なのはチームワークであり、和を重んじられる社員を採用することも推奨すべきですが、あえて自己中心的で和を乱しそうな人を採るのも必要なのです。
なぜなら、画一的な人材だけをずっと採っていくと、企業は変化に対応できなくなるからです。
そして、そこから衰退の道を辿ってしまうのです。

聞いた話によると、京都の分析・計測機器メーカーの堀場製作所も、採用時には2割変わり者を入れるように心がけているそうです。
社長曰く「ものづくりに変わり者を入れなくてどうする」ということらしいです。

金太郎飴みたいに、同じような個性の人が大勢いたところで、新しいものをつくることはできません。
イノベーションは2割の変態や変わり者、個性的すぎる人たちから生まれることが多いですし、またそういう人が周囲にいることで、他の社員たちの意識も変わっていくことでしょう。

たとえば人は普通であれば好きな本や興味のある本を好んで読みます。
しかしあえて興味のない本を読みつづけるとどうなるか。
自分自身の固定概念が破壊され、心のなかでの議論が生まれ、視野が大きく広がります。経営者であれば、通常はビジネス本や経営にまつわる本を読むと思いますが、あえて古典や恋愛小説を読むことにより、自分の思考とは違う世界を受け入れ、自己啓発されるわけです。

となれば、違うものの考え方をする人が同じ組織にいることで、自らの思考や視野が広がっていくことは容易に想像がつきます。
ダイバーシティ・マネジメントはつまり「法人格の自己啓発」なのです。

たとえば3年間ぜんぜん芽が出なかった営業社員が、4年目に営業成績1位になる可能性もあるかもしれません。

こういうタイプの社員は、最初は会社のルールから逸脱して自分のやり方に固執してしまうせいで、なかなか結果を出せません。
しかし、いずれは自分の考え方と会社のルールとの融合点を見つけて、新しい発想を生み出すことができるのです。

他の営業マンはルートセールスをよしとせずにいるところ、自分は用もないのに行きつづけ、案件を得る。または勝手にメルマガを制作して顧客に送る。
そのような突拍子のないことを始める異分子的存在が企業には必要です。
普通の社員では気がつかなかったことに気がついたり議論をぶつけたりしてくれるからこそ、企業はその先に大胆な変革や手法を見いだすことができるのです。