大手に行かないのは健全な闘い方のひとつ

2016年10月06日

大企業の終身雇用制度は、きわめて優秀な人を大量一括採用していく仕組みであり原理であり、危険なシステムです。

もしあなたが自分の市場価値を上げたいと願うのであれば、この大企業の危険なシステムに飲みこまれる必要はありません。
実力があれば、もしくは自信があれば、このワナにはまらずに、一刻も早く大企業から出て行くべきだと私は考えます。

いまは大企業も人材の流動化がかなり進んでおり、出戻りというケースも多々あります。
メーカー、商社はもちろん、金融業界ですら、中途採用で幹部になった人たちはたくさんいます。

たとえば、りそな銀行で働いている友人によれば、りそな銀行は中途採用を活発に行っているそうです。
2003年、りそな銀行が公的資金を受け入れて実質国有化されたことで生じた「りそなショック」が起きましたが、その際に友人と同じ20代後半の社員が保険会社や損保などにたくさん転職しました。
友人は残ったのですが、そんなわけで同期や同世代がほとんどいないといいます。

ただ、銀行はもしかしたら出戻りで社長になるのは厳しいかもしれません。
野球界で喩えるなら巨人軍のようなもので、ジャイアンツ以外は他球団経験者が監督になっていると思いますが、ジャイアンツだけは生粋の巨人魂を持っている人だけしか監督になれません。
これはいわゆるエスタブリッシュメントであり、銀行も究極のプロパーしかトップに上り詰められないというルールがあるのです。経団連もいまだにそうです。

しかしこのようなエスタブリッシュメントの存在しない会社は、転職組も平取や子会社の社長になることができます。
大企業に入社→ベンチャーに転職→大企業に出戻り、という道もいくらでもあると思いますし、もっといえば大学卒業後に大手を選ばずいきなりベンチャーに入り、そこから大企業という道もあります。

そもそも大企業自体が、「弊社に入れば一生安泰です。企業年金を組んで人様よりも裕福な生活を保障します。
あなたの家族を守ります」というような体制ではなくなり、社員に対して早期退職制度や給与据え置きなどを仕掛けてくる時代です。
当然、辞めていく人間が一定率いるなかで、どのように優秀な人を確保するかということが大企業自体も問われているのです。

つまり、大手に行かないというのは負けではなく、健全な闘い方のひとつなのだということです。
中小企業に入れば、若くして裁量権を持ち、ビジネスの本質を知るチャンスに恵まれます。
規模の大きさは関係ありません。
名刺を持って上司についていって、100億や1000億のプロジェクトに参加することがビジネスマンとしてのスキルを上げることにはならない。
10万、20万の決裁を相手から商いとして直接取ることのほうが、よほどビジネスマンとしてのスキルが上がるはずです。若くしてそういう経験を一つひとつやっていくことが、自分の市場価値を上げるということなのです。

私自身、興銀リースという大企業からプリモ・ジャパンという小さな会社に転職したことで、事業の本質というものを身にしみて学ばせていただきました。

たとえば大企業での取引というのは稟議対稟議の世界で、たまたまそのポジションにいた人がたまたま仕事を請け負って稟議書を書けば、数日後に取引が成り立つという世界です。

しかしプリモ・ジャパンにおいては、稟議のようなものはなく、すべては創業オーナーの経営判断と決裁にかかっていました。
創業オーナーですから当然すべては「自分事」、つまり身銭を切るのと同じ感覚で行います。だから経営判断も決裁のスピードもとてつもなく速いのです。

そのような事業の本質を転職したての28歳でいきなり学ばせていただいたのは、本当に大きな経験でした。
転職してよかったなと素直に思える出来事でした。

ところで稟議の話に少しだけ付け加えると、たとえば日本の大企業の決裁者だという人が海外に行って、グローバルでコンペをしても「持ち帰ります」ということが多いです。
かたやその場で決裁してサインして翌日に振り込むという、日本の大手ではあり得ないビジネスプレイヤーがいます。

「日本企業の意思決定は遅い」というのは、グローバルでの周知の事実です。
しかし大手企業はいまだにそういう商慣習を続けていて、本当に無駄なことだと残念に思います。