大げさな経営理念には注意

2016年10月11日

会社を決めるときに手がかりになるのは経営理念や社是だと思っている人が多いようです。
もちろん、社員の気持ちを高め、寄り添わせること、船に乗り合わせた全員がそれを北極星か羅針盤のように感じることは、とても大事なことです。
しかしながら、私は強烈に社是や経営理念を打ち出す経営者や、幹部が盲目的に社是や経営理念に従っている企業は、非常に危険だと思うのです。
もし「我が社の採用は人事が間違いなく行っている。社内には経営理念が浸透している」という経営者がいたとしたら、私はこう質問してみたいです。
「本当ですか。金太郎飴をつくろうとしてはいませんか。自分のいうことを聞く素直な人を入れよう、そういう人に育てようとしていませんか」と。

企業文化や経営理念や社長の想いがあまりにも強く社員に浸透しすぎると、それ自身がマイナスになることもあります。社長がワンマン経営を行っていたり、
既存社員が「これが絶対にいいんだ」という先入観だけで仕事をしていたりするからです。そういう会社は、違う視点や違う考え方を排除する傾向が強くなりがちです。

ですから、もし企業説明会などで経営理念や社是を強烈に打ち出してくる会社があったら、少し引いて観察してみることをお勧めします。企業自体が100%それらを継承し、自分たちのやり方が常に正しいというような態度が垣間見えないかどうかをチェックするのです。

必要なのは、確固たる経営理念や社是ではなく、「多様な人材を引き受ける仕組みがあるかどうか」です。中途採用に積極的か、障害者雇用はあるか、時短労働や産休育休はあるかなどで判断する目を持ちましょう。

残念な理念経営の事例としては、経営理念や社是を外部とつくってしまうことです。
社長や幹部が社員と膝を突き合わせ、徹底的に向き合い、日々過ごしている時間や伝えようとしているメッセージというものを体系立てて、社内に浸透しやすいように美しい言葉へと言語化するのであれば、これは素晴らしい経営理念や社是になることでしょう。
つまりボトムアップで積み上げていくものを集約し、見ればすぐに立ち返れる、象徴的な「寄りどころ」になるからです。
しかし、コンサルティング会社や他の会社の人間などと話しあって、なんとなくつくられた経営理念や社是は、絶対に社内に浸透しません。なぜならそれはトップダウンで社内に落としていくこととなり、
社員の共感ややる気を得ることが不可能だからです。実に本末転倒な話です。

必要なのは美しい言葉ではありません。上司と部下の日々の関連性や、社長の日々の経営のスタンスや事業方針やものの考え方が、会社全体に伝わっているかどうかです。それは週に1度の会議、もしくは朝夜の幹部会議、またはメールの返信、もしくは社内報などの制作物を通して、メッセージを落とし込んでいくということです。

「あしたのチーム」も社内報を四半期に1回制作し、必ず私の3カ月間の振り返りと次の3カ月間に向けた方針を書いています。
これらは、経営理念や社是以上に大切な、社員に対する私からのメッセージなのです。