人事評価制度の概要

人事評価は人事考課とも言われ社員の職務上のパフォーマンスを評価するものです。
人事評価はキャリア開発の一部であり、社員のパフォーマンスへの定期的なレビューで行われます。

概要

人事評価とは,企業の目標と社員のパフォーマンス、労働生産性を比較し、具体的、定期的な手順を経て評価を行います。
また各社員の行動・成果・将来の成長可能性・得手不得手を把握するのにも活用されます。

人事評価は毎年1回行われるのが通例でした(ロングサイクル評価)が、昨今ではより定期的に行うようになり、(年2回~4)さらにより短い期間で実施する企業も増えています(週1、月2)。

人事評価システムは組織すべての人材リソースを管理し、パフォーマンスを最大化させるために導入されます。
人事評価の有無、正しい運用ができているか否かが、ビジネスでの成功を左右する可能性があります。
したがって、組織のトップは常に人事評価が優先度の高いものであることを理解しておく必要があります。

人事評価はパフォーマンスの向上・昇進・解雇・社員適正の確認等、様々なポジティブ効果がありますが、反対にネガティブな側面も可能性として秘めています。例えば、人事評価は評価者部下間のコミュニケーション、労働意欲向上へ繋がるものである一方、正しい運用を行わければ労務リスクになる可能性もあります。また社員が人事評価に満足しない例として、アメリカの人事評価を他の国、他文化の人に一律に適用してもいい効果が得られない場合などが挙げられます。

評価の活用

人事評価導入の目的は労働生産性及び組織全体のパフォーマンスを向上させることです。他にも昇進・解雇・転勤を行うための社員のパフォーマンスレベルの確認、社員の成長を促すといったことに活用されます。また適正な人事評価により社員のスキルやパフォーマンスのレベルを把握できるため、新規雇用や新規事業への人員配置への応用など組織運営上、幅広く活用が可能です。

想定効果 想定されるメリット

人事評価の想定されるメリットは各社員のパフォーマンスを正しく評価し、
給与や待遇に反映することで、生産性向上及びそれに伴う、会社の業績の向上です。

コミュニケーションの促進

社員のモチベーションを上げるために組織内のコミュニケーションは重要です。正しい人事評価のフィードバックを行うことで、社員の組織に対する不安を減らせます。基本的には、フィードバックに加えて、評価者と部下の間でしっかりコミュニケーションをとることが、仕事のパフォーマンス向上に繋がります。

社員の組織に対する期待値の向上

適正な人事評価による昇進の可能性を明示することで、社員の会社への信頼を高めることができます。反対に人事評価がない場合や正しく人事評価が運用されていない場合、社員の将来への不安が労働意欲を損ない組織全体のパフォーマンス低下といった大きな問題になる可能性があります。そのため、このような問題を防ぐためには正しく検討・実施のされた人事評価が不可欠となります。

目標設定

目標設定には社員と組織の目標についてしっかりと議論を行い、それぞれの目標を合致させていくことが重要です。組織の目標を各社員が十分に理解することで、人事評価の結果に対する不平不満を減らし満足度の向上が期待できます。

労働生産性の向上

適切な人事評価は、社員が組織の期待するパフォーマンスを発揮しているかの明確な指標となり、給与、待遇を上げるため労働意欲の向上が期待できます。多くの研究レポートでも、人事評価と労働生産性の向上には明確な関係性があり、社員満足度と会社の業績向上につながるといわれています。

各社員スキルの把握

社員の人材開発は組織としての成長には必要不可欠です。人事評価により社員スキルを把握し、問題点やスキルの不足点を明確化することで、適切な研修プログラム開発の手助けとなります。既存の社員の必要スキルが把握できることで、新入社員への研修をスムーズに行うことができます。

想定課題 想定されるデメリット

前述の通り人事評価のメリットは多くありますが、反対に潜在的なデメリットも存在しています。下記の項目に該当する場合、人事評価は組織にとってのデメリットとなりえます。

  • 人事評価が正しく行われていない場合、組織に悪い効果をもたらす恐れがあります。
  • 人事評価と組織の文化やシステムに違いがある場合は、効果が期待できません。

人事評価が向かない組織形態

TQC(トータルクオリティマネージメント)を活用した組織では、一般的には人事評価は必要ないとされる場合があります。例えば製造業では商品の品質は均一であり、決まった質を保つ目標があるため、社員個々人のパフォーマンスに依存にしないという反対意見もあります。

主観的な評価

伝統的な人事評価は、評価者の目線から社員のパフォーマンスを見ているため、社員の評価は客観的というよりも、主観的に評価されがちです。そして、評価は実際のパフォーマンスとは関係のない事柄で判断される場合があります。
例:個人の好み、先入観、管理の容易さ、昔の失敗や成功点など。
評価は、測定可能な行動目標、数値目標、それに対する結果を元に判断するべきです。

社員からのネガティブ意見

社員が人事評価に対してネガティブな認識を持つ場合があります。評価されることを恐れる社員(目標達成ができなかった場合や評価者を信頼していない場合等)も存在するため、評価者と被評価者の関係に緊迫感が生まれ、本来持っているパフォーマンスを発揮することができない場合があります。被評価者と評価者の信頼関係がなければ、人事評価の効果は発揮することが難しいといわれています。

不適切な昇進・昇給

人事評価は、社員の業績に対して事前に定めた基準と比較して、正確かつ適切な評価を実施する必要があります。しかしながら、評価者は被評価者との対立を避けることや私情を挟むことがあり、社員を実際の業績よりも高く判断することがあります。不適切な評価で昇進する社員が多くなることで会社の業績悪化の一因となる場合があります。

訴訟リスク

人事評価は昇進、降格、懲戒処分等に利用されるため、適切な運用がされてない場合は、社員に悪影響を及ぼすのみならず、訴訟に発展するリスクを秘めています。

パフォーマンス目標

倫理、法的要件、または品質に影響を及ぼしかねない目標を強制した場合、組織に関する否定的な結果が生じる可能性があります。最悪の場合、社員のトレーニングや勉強、そしてスキルの上達にとって阻害となる可能性があります。特に、早期のトレーニングの場合は、個々のパフォーマンス目標より全体的な目標を設定して、目指すことの方が有益です。

貢献度に応じた賃金または成果報酬の脱線

貢献度に応じた賃金および成果報酬の欠損は、人事評価を導入しているにもかかわらず上記の状態が発生すると社員のモチベーション低下だけでなく会社全体のパフォーマンス低下にも結びつく可能性があります。